鈴ノ木ユウ
全10巻
無料試し読みあり
あらすじとネタバレ
児童養護施設で育ったという、
詳細不明のピアニスト・ベイビー。
彼のライブは2時間通して演奏したり、
開演から僅か10分でステージから消えたり。
そんなベイビーの正体は、
鴻鳥サクラという名の産科医。
病気ではない出産に本来なら医師は必要ない。
けれど、何かが起こり得るから
産科医は居なくてはいけない。
現在では忘れられがちだが、
絶対に安全な出産などない。
命がけになることも多い。
サクラが勤める病院には、様々な妊婦が訪れる。
彼女たちを取り巻く状況も、赤ちゃんの状況も、
妊婦の一言では括れないほど多種多様。
そんな出産の現場を描く、感動作。
読んでみた感想
出産について、どれくらい知っていますか?
立場は異なれど男女問わず、
少なくとも知識としては知っておいた方が良い。
そんな妊娠と出産にまつわる
生々しいほどリアルな現実を描いている作品です。
出産そのものもですが、
妊婦に関わる社会的な制度などにも触れているので、
本当に勉強になりますね。
赤ちゃんたちはいつだって必死に生きようとしている。
当たり前のことなのに、とても重みがあります。
健康に産んであげたいのに叶わないお母さん、
健康に産んだのに育ててあげられないお母さん。
状況や事情は様々ですが、彼女たちの痛切な叫びは、
思わず涙腺が緩んでしまうほど。
テーマからしてシリアスな流れになりがちですが、
世界観がしっかりしていて、のめり込んで読めちゃいました。
母の強さ、夫婦の絆と決断、
そしてピアニスト・ベイビーに関するサクラの周囲の反応など。
胸が熱くなったり、クスッとしたり、
憂うつ過ぎて読めないってことはない、
バランスのいい漫画ですよ。
妊娠と出産について、少し考えてみませんか。
男女問わず、特に若い世代に読んでみてほしい作品です。